ONKYO DP-X1 レビュー 単なるオーディオプレーヤーに留まらない多様な楽しさを備える1台
7月に購入して約4ヶ月、しばらく日々を共にしてきたDP-X1についてそろそろまとめておこうと思います。
購入まで
私がポータブルオーディオの再生機器、いわゆる上流にこだわるようになったのが約2年前。それ以降D12Hj、PHA-2、AK10といったポタアンとiPod touchを組み合わせて運用してきました。
しかし、母艦側であるiPod touch 5thのバッテリーのヘタリやデバイスとしてのスペック不足、容量不足を今年になって以降かなり実感していました。iPod touch 6thを新たに購入してこれまで通りのiPod+ポタアンという環境を続けようかとも考えたのですが、IE800の購入と共にそろそろ落ち着きたいという思いが芽生えたり、そもそもiPod+ポタアンはかさばるということも事実。そこで、思い切って単体でも納得できる音を鳴らしてくれるDAPの購入を検討することに。
DAP選びにおいて重視したのは
- あまり味付けの濃くない音
- (比較的)スマートなデザイン
- スムーズな動作
- 予算は中古で55000円
この4点。 この時点での候補はPioneerのXDP-100RとAstell&KernのAK100Ⅱでした。
というのも当時(今年6~7月頃)、DP-X1の中古相場はおよそ6万円。当初から理想はDP-X1だったのですが予算の面で断念していました。
そんな訳で何度か試聴を重ね、ほぼAK100Ⅱの購入を決断していました。
そんな中、某イヤホン専門店がイベントに合わせて中古セールの告知。その中にDP-X1が5万円という文字が。これを逃したらもう買えないと思い、AK100Ⅱを買わずにDP-X1を購入したのでした。
外観
4.7インチのディスプレイを搭載しているため、前面からパッと見ただけではスマートフォンのようにも見えます。
背面から、とてもシンプルなデザイン。AKシリーズのような華々しさはありませんが私自身は特に不満を感じていません。金属筐体なのでひんやりしています。下部にはガラスが使われていますがおそらく通信関連のアンテナでしょう。
外観でまず目につくのがこのボリュームノブ。これまたAKシリーズでも採用されており賛否両論あるのは事実ですが、このシステムが操作性において優位なのも事実。ボリュームは160段階。緩すぎず、硬すぎず、適度な操作感です。
背面はボリュームノブにかけて緩くカーブしています。運用する際にグリップ感の向上に役立ってくれるのですが、正直ケースをつけているとあまり意識しません。
ボディ側面には物理キーも搭載。これまでiOSデバイスで音楽を聴いていた身からするとハードウェアキーで音楽の再生/停止ができるのは本当に便利ですし、これだけでもDAP単体で購入した甲斐があります。
本体上部に3.5mm/2.5mmジャックが搭載されているように2.5mmバランス接続対応なのですが、私自身バランス接続非対応のIE800を愛用しているためこれまでほとんどバランス接続を使用したことがありません。現行型のDP-X1Aでは改善されている*1のですがイヤホンジャックの緩みや破損が多く報告されています。私自身の個体も3.5mmジャックは若干緩くなっているように感じますね。
また、イメージカラーのイエローでX1と刻印されています。外観面にあまり遊びを感じないDP-X1においては数少ないオシャレなポイントと言えるかもしれませんね。
本体下部にはマイクが搭載されているためAndroidの音声コントロールも使用可能。兄弟機のXDP-100Rとは違いスピーカーは搭載されていません。
SDカードは2枚差しに対応。200GBのmicroSDを2枚用意することで本体ストレージと合わせて432GBの容量が確保できます。
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純正ケースを装着して
かなり大柄でエッジの立った筐体なため個人的にケースは必須かと思います。私も本体とは別売りではありますが純正ケース(DPA-PUX1)を購入しました。
DP-X1本体のイメージカラーと同様内側は派手なイエローですが、実際に装着するとそこまで目立ちません。
ONKYO純正のケースとだけあってフィッティングもバッチリです。本革ではなくPUレザーですが質感は普通。
※追記 2017/1
DignisのDP-X1用ケースを購入しました。 これ、本当にイイです…
詳細はこちらから…
※追記終
オーディオプレーヤーとして
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※筆者は普段アンバランス接続・イコライザー系統はOFFで使用しています。
※主にIE800を使用、アニソンや声優ソングをメインで聴く一個人の感想です。
DSD/DSF/DSD-IFF/FLAC/ALAC/WAV/AIFF/Ogg-Vorbis/MP3/AACに対応、DSDはネイティブ再生ではなくPCM(192kHz/24bit)に変換されて再生されます。また、PCM音源の場合も384kHz/32bitの音源は192kHz/24bitにダウンコンバートされ、44.1kHzの音源は48kHzへと強制的にアップサンプリングされます。強制アップサンプリングは好みが分かれる点かもしれません。
肝心な音ですが、かなりフラットだと言えると思います。低域は無駄な膨らみがなく芯が通りすっきりとした印象。とはいえ、最低域までしっかりと鳴らしてくれるため個人的には低域不足だとは感じていません。中高域にかけても特定の音域が強調されているような鳴り方ではなく、高域にかけて本当にスムーズで自然な音です。しかし薄っぺらさは全く感じません。
また、個人的には音場感が非常に好みで、かなり広がりのある音はいつまで聴いていてもいいなと思わせてくれますね。
DAPにあまり過度な味付けを求めていなかった私にとってはまさに求めていた音です。ただ、人によっては味が薄すぎる音だと感じるかもしれません。
兄弟機のXDP-100Rも購入時には検討しましたが若干低域の量感が多いなと感じたのと、将来的には(落ち着きたいと思っているものの)バランス環境を整えたいとの思惑もあるので「後悔しないだろう」と思い結果的にはDP-X1に。後継機のDP-X1Aも少し試聴したのですが初代(DP-X1)の良さである味付けの少なさはそのままに、低域がさらにしっかりした印象でした。とはいえ、このDP-X1は長く使うつもりで購入したわけですしお金もないので買い替えません。
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よく比較されるAK70も試聴済みですが、個人的にはDP-X1とはまた違った良さがあるプレーヤーだと思います。サイズに関してもかなり大柄なDP-X1に対してコンパクトなAK70はDP-X1ユーザーからすると羨ましいですね。ただ、DP-X1は音の傾向はフラットで空間表現が非常に得意、比較的かっちりとした音であるのに対し、AK70は音場感が劣りますが音のメリハリ感がより強く感じられ、比較的リスニング寄りな音だなと感じました。ここは音の好みの差でしょうね。
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単なるオーディオプレーヤーに留まらない面白さ
DP-X1は先述の通りAndroid5.1を搭載、ハード面ではSoCは Xperia Z UltraのWi-Fi版に採用されていたAPQ8074、つまりSnapdragon800を採用しRAMは2GB搭載。3年ほど前のフラッグシップスマートフォンと同等のスペックを確保しているわけですから当然DAPとしての動作に関しては快適の一言。
以前、Antutuでこんなスコアを叩き出したことも、現行のハイエンドスマートフォンには遠く及ばないスコアですが、日常使いには全く支障ありません。
つまり、単なるオーディオプレーヤーとしてだけではなくWi-Fi運用できるAndroid端末としても必要十分なスペックを持ち合わせているのです。AndroidベースのDAPは数多くあれども、ここまで純粋なAndroidデバイスとして快適に運用できるDAPは他に思い当たりません。Seiun Pro X、ね。。
Androidデバイスとして
SpotifiやApple Music、Google Play Musicなどの音楽ストリーミングサービスもGoogle Playから各アプリをダウンロードすればもちろん利用可能。
もちろんYoutubeも視聴可能。
デバイスにスペックを要求するゲームの代名詞ともいえるアイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ(デレステ)もプレイできます。しかもただプレイするだけでなく最も負荷がかかる3D標準でも快適にプレイできてしまいます。
その上、オーディオ回路は通常の音楽再生時と同じく高品位なもの。つまり、様々なコンテンツをかなりの高音質で快適に楽しめるマルチメディアプレイヤーとも言えると思います。ここが他の高音質DAPとは大きな違いではないでしょうか。高音質で音楽を楽しみながら同時にブラウジングやTwitterもできてしまう、私にとっては最高の相棒です。
ただし、難点も
ポケットには入れづらいサイズ感
上はXperia Z5、下がDP-X1なのですが、スマートフォンと比べてしまうとやはり相応の厚みがあります。重さは203gと重め。ポケットに気軽に入れておけるサイズとは正直言えません。私自身はDP-X1の使い勝手を考えると仕方ないのかなとは思っていますが、やはりAK70のような小型で高音質なDAPを求めている方にはこの点は痛いでしょう。
バッテリー持ち
普通に使えてしまうAndroidデバイスとしては少ない1630mAhのバッテリー、音楽再生のみの運用であればそこまで問題にはならないのですが、ブラウジングやデレステのような高負荷ゲームをしているとみるみるうちにバッテリー残量が減っていきます。外出先のWi-Fi環境で楽しくDP-X1で遊んでいたら気づかぬうちに…、なんて事にならないように気をつけなくてはなりませんね。スマートフォンと同じく毎日の充電は欠かせません。
ハードは耐久性に難あり
幸い、私自身の個体は今のところ何の故障もありませんが、Twitterでよく目にするイヤホンジャック部の破損。差し込み感が緩くなる程度であれば何とかなるのですが、完全に破損してしまうとメーカーに修理を依頼するしかありません。
最近DP-X1の中古相場がDP-X1Aの登場によりグッと下がり4万円台から購入できるようになってきてはいますが、耐久性を考えると少し怖いものもありますね。私自身も中古保証が切れた今、少し気を遣って運用しなくてはいけないかな、なんて考えることもあります。
中古購入を考えている方はONKYO直販の再生品も視野に入れてはいいかもしれません。記事執筆時(11/12)には次回入荷待ちとなっていますが、1年のメーカー保証と純正ケース&保護フィルムが付属してこの価格であればかなり安いのではないでしょうか。
まとめ
高音質DAPとしては文句なしの素質を持つDP-X1、とにかく音に無理な強調感がないのでいつまでも音楽を聴いていたいなと思わせてくれます。ただ、7月から4ヶ月間、肌身離さずに付き合ってきた中で感じたのがマルチメディアプレーヤーとしての可能性。
いい音で音楽を楽しみながらTwitterやブラウジングを楽しめたり、いわゆる音ゲーを楽しめたり、もちろんGoogle Playで借りた映画を見たり電子書籍を読んだりもできてしまう。極端な話をするとメールの送受信も可能。
単なる高音質DAPに留まらない可能性を持つDP-X1、ガジェット的な面白さに溢れた素晴らしい1台だと思います。
ONKYO デジタルオーディオプレーヤー ハイレゾ音源対応/DAC・ヘッドホンアンプ内蔵/バランス接続対応/Google Play対応 ブラック DP-X1(B)
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*1:DP-X1Aの試聴時に確認済み