ついにIE 800 Sがアンベール、IE 800ユーザーとしての独り言
ついにこの時がやってきました。
IE 800 Sがついに国内公開
私の愛機でもあり、長らくゼンハイザーのイヤホンラインナップではフラッグシップの座を譲ってこなかったIE 800。もうすぐ登場から5年になろうかというこのタイミングでついに後継モデルにあたるIE 800 Sが国内で正式に発表されました。
(リンク先は本国サイト)
完全な新作というわけではなく、あくまでも既存のIE 800のブラッシュアップモデルという印象が強い本モデル。実際に、XWB(エクストラワイドバンド)ドライバーと呼ばれるIE 800向けに開発された7mm径ドライバーは改良版が採用され、イヤホンの筐体もセラミック製なのはそのままにフィニッシュが光沢処理からマットブラック処理へと変更されていたりと着実な変化が感じ取れる一方で、MMCX等の汎用コネクターによるリケーブルは不可能であったり筐体そのもののサイズ感にも大きな変化は見られないなど、IE 800の血をかなり色濃く残したモデルだと言えると思います。
既存のIE 800ユーザーとして特に気になる点…
同梱ケーブルで2.5mm/4.4mmバランス接続が可能に
今回のIE 800 Sの発表でも大きな話題になっていたのが同梱ケーブルについての変更点。既存のIE 800では分岐下のケーブルは3.5mm 3極のケーブルのみ同梱されてましたが、今回発表されたIE 800 Sでは3.5mm 3極のケーブルに加え、2.5mm 4極と4.4mm 5極のバランス接続対応ケーブルが同梱されています。4.4mm 5極ケーブルまで同梱してきたのは少々意外でした、音だけでなく強度的なメリットも大きい規格なのでどんどん広がってほしいですね。
さて、これまでのIE 800では分岐部のプラグが2.5mm 3極だったため叶わなかったこのような形でのバランス接続への対応。これまでIE 800でバランス接続を楽しむには、ケーブルを切断してMMCX端子を取り付けたり他のケーブルと結線してしまうなどかなり大掛かりな処置が必要でした。
個人的には一生付き合う覚悟ができていたのでIE 800をMMCX化したわけですが、普通に楽しむ程度であればリスクも大きいこのような処置はやはり踏み出しにくいところ。その上、確かに2.5mm 4極や4.4mm 5極のプラグを採用したケーブルであっても変換ケーブルなどを使用すれば3.5mm 3極プラグにも変換できますが、どうしてもプラグの変換部分が運用上鬱陶しくなってしまいます。その点、今回のIE 800 Sであれば気軽にバランス/アンバランスを行き来できるのは嬉しいポイントですね。ここまでしてしまった私が言うのもなんですが、やはり羨ましいです。
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もちろんバランス接続で聴くIE 800が奏でる音には素晴らしい魅力がありますが、DP-X1とのバランス接続でIE 800を使用している私自身も試聴機の3.5mm アンバランス接続で聴くIE 800の音も2.5mmバランス接続とは違った音のまとまり感に別の魅力があるようにも感じるのは事実ですし、IE 800というイヤホン自体スマートフォンでもしっかりと”IE 800の音”で鳴ってくれるのでわざわざ普段からDAPを持ち歩かなくとも気軽に使用できれば活用するシチュエーションが増えるのも嬉しい点。やはり、気軽に両者を行き来できるのは本当に羨ましいです。
付属イヤーピースにコンプライが登場
これまでのIE 800ではシリコン製のS/M/Lサイズと楕円型のイヤーピースが2ペア付属していましたが、IE 800 Sにはシリコン製のS/M/Lサイズのイヤーピースに加えS/M/Lサイズのコンプライが付属。
コンプライの付属は評価の芳しくないIE 800の装着感の改善のためという意図であろうということはこちらの記事を読んでいてなんとなく伝わってきます。
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音のチュー二ングの変化はどれほど…?
IE 800の音に魅了された身としてはやはりここが何よりも気になる点です。
このイヤホンの音はオカルト的な表現に聞こえると思いますが、真っ白な空間に鮮やかな音が一点の曇りもなく描かれるといったイメージだと個人的には思っています。つまり、空間表現が非常に巧みで鮮やかな音。
私がIE 800の音に対して抱いているイメージはこんな感じ、なんとも胡散臭いです。
IE 800 Sは日本人の好むクリアな中音域を重視して設計!
— FUJIYAAVIC フジヤエービック (@FUJIYAAVIC) 2017年10月12日
#ゼンハイザー pic.twitter.com/Q9ROevNcyn
今回のIE 800 Sの発表に際して、音のチューニングに関しては「日本人好みのサウンドを意識した中低域のチューニング」というニュアンスのワードが目立っています。
そして気になったのがこのレビュー。
「IE 800」に比べると、“おお、艶っぽいな”と感じる音域が、高い方からわずかに真ん中の方へ移動した手応えがあった。
抽象的かもしれない表現ですが、IE 800ユーザーとしては”おおっ”と感じてしまう一節です。
というのも、IE 800というイヤホン自体ボーカル域の表現力はとても高いのですが、「じっくり濃厚にボーカルを聴かせるタイプ」の音かと言われればそういうわけでもなく、ダイナミックドライバー単発構成とのイヤホンとは思えないほどの各楽器の分離感がよりボーカルの美しさを引き立ててくれるといった感じの鳴り方で、「ボーカルが他の楽器に埋もれずに際立ってくる」と感じる鳴り方をするイヤホンだと感じています。
もちろん今のIE 800の音に不満があるかと言われればそういうわけではないのですが、あのIE 800特有の”無音”を描き出す特有の空間表現を保ったまま、よりボーカル域の表現が生々しくなった、そんな音だったら…
聴く前から妄想は膨らむばかりです。
まとめ
という訳で非常に試聴するのが楽しみなIE 800 S。価格はIE 800から上がり約12万円程度とのこと、はっきり言ってどれだけ好きな音であっても私が購入する事は不可能な価格です。
ただ、よく他のレビューサイトなどのIE 800のページを見ていると感じるのが、このイヤホンは心底惚れ込んでいるユーザーが多いなという事。そして、「唯一無二の存在」と言い切ってしまっているユーザーも一定数居るという事。まぁ私もそんな一人ではあるのですがね…
そんなIE 800の後継モデルにあたるIE 800 S、”唯一無二の後継者”となれるのか、ぜひこの耳で体感したいと思います。
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(追記:実際に試聴しました。)
(追記終)